店頭用POP配布
店舗様向けに、本ページで紹介している農家の店頭用POPを配布しています。
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2015年に新規就農、就農2年目で有機JAS認証、4年目でJGAP認証※、そして2020年にはASIAGAP認証※を取得し、つくば市手子生(てごまる)地域の有機農業のパイオニア的存在である「ふしちゃんファーム」社長の伏田直弘(ふしだ なおひろ)さん。8棟のビニールハウスとともに奥様と2人だけで始めた農場は今や、ビニールハウス56棟、スタッフは20名にまで拡大しています。
そんな伏田さん、実は国立大学の大学院で農業経営学を学んだ超エリート。いずれは農業に就きたいとは考えてはいたものの、その前に世の中のモノの流れを学ぼうと思い、大手外食チェーンに就職しました。その頃ちょうど外食産業による農場運営がトレンドになりつつあったので、いずれは農業を学べると思ったからです。
3年間の外食チェーン在籍中、バイヤー、自社農場の立ち上げ、有機JAS認証の取得などひと通り経験した伏田さん。これで独立就農かと思いきや、農業を始めるにはそれなりの資金が必要なことを痛感し、次はお金のことを学ぼう!と、何と倍率200倍の難関をくぐり抜け、政府系金融機関への転職を果たします。
当然ながら財務・税務は全くの未経験、そして周囲は政府系機関や銀行などで経験を積んだエリートばかり。そんな中、伏田さんは持ち前のコミュニケーション能力を活かし、全国の赴任先で農協、地銀などとの協力体制を築きました。とある支店ではついに過去最高の融資額を達成し、いよいよ独立就農の機会が近づいてきました。
2014年、福島市の支店に転勤となった伏田さんは、休日につくば市に通い、認定就農者資格を取得。その翌年ついに新規就農を果たしました。つくば市を選んだのは「つくば」という名前が全国区であり、都心からのアクセスが良好だから。農業をちゃんと稼げるビジネスにしたいと考えている伏田さんにとっては絶好の環境でした。
今や農業法人として、野菜の供給だけでなく地域の雇用にも貢献しているふしちゃんファームですが、ここまでの道のりは決して楽なものではありませんでした。
就農してすぐ、不作や病害虫被害が出てしまい、何も育っていないビニールハウスがあるだけ…という状態に。独立するまで直に先輩農家に学んだ経験がなかった伏田さんですが、「天敵を使ったアブラムシの防ぎ方」という公開講座を行っていたつくば農研機構の方に懇願し、ハウスでどんな虫が発生しているか、問題点はどこか、解決方法は何か、などをコンサルしてもらうことに成功。そして就農した年の夏にはハウスを倍の16棟に増設、小松菜と水菜の栽培を開始しました。しかし思うように野菜は育たず、欠品、病気、返品の連続...。この頃の苦い経験が、ふしちゃんファームが第一に掲げる「高品質・適正価格・安定供給」というモットーにつながっています。
「有機栽培だと欠品を起こしがちなのですが、例えばスーパーなどで欠品すると、その棚に違う農家の野菜が入ってしまうんですよ。なので絶対に欠品は起こさないという意気込みで取り組んでいます。欠品さえしなければ、シェアは伸びるものなんです」と伏田さん。
出荷先についても独自の販路を切り拓いてきた伏田さんは、食品バイヤー達が集まる商談会などに出向いて試食会を行い、都内の高級スーパーや百貨店、大手スーパーや会員制の野菜通販ショップなどの取引先の獲得に成功。さらに「夏にほうれん草を出荷したい」「パクチーが少なくて困っている」といったバイヤーさんたちの要望に応えることで、単価の維持・向上も実現させています。
自身が就職活動を行っていたその昔、農業法人の初任給額を見て「これでは農業に優秀な若者は入ってこない」と感じた伏田さん。農業が誰でも始められ、稼げるビジネスになれば、業界が活性化する、と考えています。伏田さんが取り組んでいるのは、「有機農業のビジネスモデルの構築」とも言えるでしょう。
商品としての野菜の品質を高めることはもちろんですが、労働生産性を上げるために積極的に機械を導入し、スタッフが働きやすい職場づくりにも力を入れています。こうした「食品としての安全基準の遵守」や「労働環境の保全」などは、すでにJGAP/ASIAGAP※で定められているので、方針通りに行えば問題なく基準をクリアできます。仕組みは外側から整えられているから、実は有機農業は新規参入しやすい業界ともいえるのです。
就農8年目、農業法人化して4年目のふしちゃんファームは今期、ついに売上1億円突破を達成。しかし伏田さんは「やっとスタートラインに立った」と話します。目指しているのは世界展開。まずはアジア現地での展開を見据え、国内ではハウスを更に増設、いずれはグループ全体で20〜30億の売上高を達成することが目標です。
「有機野菜は、消費者からというより、世の中から求められています。環境保全の観点もありますが、スーパーではイメージアップ戦略としてオーガニックコーナーを拡大せざるを得ない風潮です。こうした世の中の流れを見逃さず、『高品質・適正価格・安定供給』を続ければ、自ずと結果はついてくるはず。そして、農業を働いた分だけちゃんと稼げる仕事にすることで、家族やスタッフ、地域の人たちを幸せにしたいと思っています。」
有機農業界のなかでも、ひときわ異彩を放つ経歴の持ち主である伏田さんは、日本の有機農業の活性化の立役者として、これからも挑戦を続けていきます。
※JGAP認証・ASIAGAP認証とは:
ASIAGAP/JGAPは「適切な農場管理の基準」であり、GAPの必要性で挙げた「持続可能な7つの取り組み」に関する100以上もの基準が定められています。ASIAGAP/JGAP認証は、その基準をもとに第三者機関の審査により確認された農場に与えられる認証です。
代表者:伏田直弘
住所:茨城県つくば市手子生2238
HP:https://organic-fusichan.net/
主な栽培品目:小松菜、ほうれん草、水菜、ロメインレタス、リーフレタス、パクチーなど