店頭用POP配布
店舗様向けに、本ページで紹介している農家の店頭用POPを配布しています。
下記「プリントする」ボタンをクリックするとブラウザの印刷ダイアログが表示されますので、ご自由にプリントアウトしてご活用ください。
「一つひとつの作物を大切に育てていく。それだけでなく、周辺地域の農家さんたちの役に
立ちたいんですよ」と語るのは、茨城県で有機農業を営む、株式会社 HATAKE カンパニー
代表取締役社長の木村 誠(きむら まこと)さん。大学時代に会計士を目指して勉強して
いた頃に培った経営の知識と、人との交流を大切にする姿勢を武器に、木村さんは 20 年以
上にわたり農業の現場で挑戦を続けています。
木村さんは、元々歯車加工を営む自営業の家庭で育ち、幼い頃からものづくりの現場を見て
育ちました。そして、自らも新しい価値を生み出したいという強い思いを抱えていました。
そんな木村さんが農業に本格的に取り組むきっかけは、つくばで出会った「ミネラル」を活
用した土壌改良の研究をする会社に入ったことでした。
このミネラルメーカーで 3 年にわたる勤務経験は、木村さんを農業に近づける重要な契機
となったといいます。当時、日本各地で採取された薬石からミネラルを抽出し、その液体を
農作物に利用することで農薬を使わない農業を広める試みが行われていました。この仕事
を通じて農業の可能性を見出した木村さんは、「自分で農業をやってみたい」と思い、就農
する決意を固めたのです。
木村さんが農業を始めた当初から考えていたことは、「とにかく農薬を使わない農業をしよ
う」ということでした。しかし、その道のりは決して平坦ではなかったようです。「始めた
ばかりの頃は、虫や雑草に悩まされる日々でした。でも、農薬に頼らない方法で解決したか
ったんです」と木村さんは語ります。
病害虫対策として、防虫ネットや輪作などを導入し、病気や虫の発生を最小限に抑える努力
を重ねてきました。また、雑草対策では、露地栽培からハウス栽培へと切り替え、草の発生
を物理的に抑える手法を採用。草取りの大変さを共に悩み、働く仲間たちと知恵を出し合い
ながら乗り越えてきた姿が目に浮かびます。
さらに、出荷体制の整備も重要な課題でした。当初は手作業での収穫と選別に頼っていまし
たが、改良が重ねられた収穫機や加工ラインを導入することで、大量生産に対応できる体制
を築きました。「一緒に働くみんなが安心して仕事に向き合える環境を作りたかったんです」
と話す木村さんの言葉には、仲間への深い思いが込められています。
木村さんの農場では、ベビーリーフが主力作物として位置づけられています。このサラダ用
の葉物野菜は、多品種混合の華やかな彩りと手軽さから人気がありますが、国内での知名度
が低かった時代にこの作物を広めるには、大きな挑戦が伴いました。
1990 年代後半、木村さんは前職のミネラルメーカー勤務時代でお付き合いがあった大手カ
ット野菜商社から「ベビーリーフの生産に挑戦してみないか」と声をかけられます。そこで
同社主催のオーストラリア視察に参加し、現地での栽培技術を学びながら、日本での生産を
スタート。結果として、国内でのベビーリーフ市場を切り開く一翼を担いました。
「初めて作ったベビーリーフを食べたとき、『これならきっと多くの人に喜んでもらえる』
と思いました」と木村さんは笑顔で振り返ります。新しい作物に挑戦するにはリスクが伴い
ますが、大手カット野菜商社との連携や地域の農家さんたちとの協力により、ベビーリーフ
を安定的に供給する仕組みを構築しました。現在でも木村さんの農場では年間を通じて安
定した品質のベビーリーフを生産しています。当時に構築した仕組みは進化し、他の生産者
との連携も深めながらその価値を広めています。
有機栽培農業の成果を直接感じられる瞬間、それは消費者の声を聞くときだと木村さんは
言います。「味がしっかりしていて、リピートしています」という声や、「パッケージの中に
入っているこの野菜の種類を教えてほしい」といった問い合わせが直接寄せられることに
喜びを感じているそうです。
「お客様の声は本当に励みになります。どんな小さな意見でも、次の改善につなげたいんで
す」と木村さんは語ります。また、これらのフィードバックを生産者たちと共有し、それを
元にさらなる品質向上に取り組む姿勢が、木村さんの人柄を物語っています。
木村さんが描く未来のビジョンは明確です。それは、「生産者を増やすこと」と「地域農業
の基盤を支えること」です。同社では自社の生産者だけでなく、近隣の独立生産者や新規参
入者を同社のグループに入ってもらうことで、全体として有機栽培農業を拡大する取り組
みを行っています。
また、分業化による効率的な運営を目指し、生産現場を独立させる構想も進行中です。この
ようにして、同社の工場や物流網を基盤に、地域全体の農業を支える存在となることを目指
しています。
有機栽培農業の魅力は、安全で美味しい野菜を消費者に届けるだけでなく、持続可能な農業
の実現にあります。木村さんのような挑戦者がいることで、有機栽培農業はさらに発展して
いくのだと確信しました。
代表取締役社長:木村 誠
住所:[本社] 〒300-2613 茨城県つくば市西高野1470-5[農場] つくば市、石岡市、筑西市、かすみがうら市
主な栽培品目:ベビーリーフ、カットパクチー、ラディッシュ、コリアンダー、セルバチカ など