店頭用POP配布
店舗様向けに、本ページで紹介している農家の店頭用POPを配布しています。
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茨城県石岡市の旧八郷(やさと)地区の「ゆめファームやさと」で2012年から農業研修、2014年に新規就農した鈴木 央(すずき ひさし)さん。
東京に住んでいた頃から奥さんのご実家の笠間市で田植えと稲刈りを手伝っているうち、環境の良いところで農業を仕事にして暮らしていけたらいいな、と考えるようになり、その時分、情報誌で見つけたのが「ゆめファームやさと」の農業研修制度でした。有機農業が学べて、販路をJAやさとがしっかり持っているというところに魅力を感じ、ここしかないという思いで応募。
それまでは趣味でも野菜を育てたことのなかった鈴木さんにとって、研修は全くの知識ゼロからのスタートでしたが、先輩たちの優しい指導のもと、小松菜やなす、きゅうりを育てて初めて収穫できた時のことは今でもはっきり覚えています。
研修から数えると今年で農業は11年目。すっかり先輩になった鈴木さんは、今では奥さんとパートさんと一緒に2.4haの畑で様々な野菜を育てています。土づくりへのこだわりは人一倍。初めの頃は堆肥の量を入れすぎて失敗することもありましたが、近頃は緑肥に力を入れていて、安定して良い土ができるようになりました。土の有機物を増やしてくれる上に、表面の土が風で飛ばされるのも防いでくれる緑肥。冬から春の土を休ませる時期にはエンバク、マリーゴールド、ソルゴー、からし菜など、後から植え付ける野菜を考えながら育てています。
鈴木さんをふくめ、「ゆめファームやさと」の出身者の半数以上が「JAやさと有機栽培部会」に所属しています。現在は31農家が集まっており、そのうち半数以上が移住して新規就農した家族なので、20代から80代まで幅広い年代が集まる組織になっているのが特徴です。毎年2家族ほど研修生が入ってくるため、とても活気にあふれており「いろんな考え方の人が集まっていて、刺激になるし、勉強になります」と、鈴木さんも笑顔で話してくれました。
研修だけでなく、就農した後も部会の農家で集まって話し合う機会が多くあります。例えば作付する品種について。基本的にそれぞれ好きな野菜を作っていますが、有機栽培では「輪作」という、畑に連作障害が出にくくなるよう、育てた野菜の後作に異なる品種を育てる方法をとるので、部会の中で育てる品種の偏りが出ないよう、事前に計画を出し合っています。輪作のためだけでなく、リスク分散のためにも品種の偏りを防ぐことは重要です。有機栽培では毎年虫に悩まされますが、毎年どんな虫が発生するかは予測がつかないので、なるべく色々な品種を育てておき、ひとつの農家さんが被害にあっても出荷に響かないように工夫をしています。
鈴木さんの畑でも、昨年の秋頃に植え付けたキャベツが大失敗。農業には「苗半作」と呼ばれる「良い苗ができれば、良い野菜が育つ」という考え方がありますが、育苗の時点で苗に虫がついてしまったため、結果的に虫食いだらけのキャベツができてしまったのです。こういった被害があっても別の農家さんのキャベツが出荷できるので、出荷に響くことはないのが良いところです。
JAやさとの有機栽培部会に所属していれば、自ら販売先を開拓する必要がないのも利点です。販売先の中心は首都圏の生協の宅配が中心。早ければ収穫してから2日後にお客さまの食卓に届くので、「鮮度が違いますね!」というコメントも多いそう。鈴木さんは「有機栽培だからおいしい、というわけではなくて、やっぱり鮮度が良ければ一番おいしいと思いますよ!」と話します。
今後の課題は、生産者をもっと増やして出荷先を拡大していくこと。部会内でも学校給食や、冷凍野菜、加工野菜などの話が出ていますが、安定した出荷ができなくては新しい試みはできません。とはいえ、これからも新規就農者が増えてくれれば、実現できる日もそう遠くはないはずです。
また、現状は冬場の葉物野菜や、酷暑で栽培が難しくなったピーマン、きゅうり、なす、ミニトマトなどが需要に対して生産が追いついていない状況なので、部会の農家さんが一丸となって努力しています。
若い力からベテランさんまで、幅広いメンバーが集まるJAやさと有機栽培部会。野菜のようにフレッシュな組織から、新しい有機野菜の流れが始まりそうです。
JAやさと有機栽培部会
部会長:岩瀬 直孝
住所:茨城県石岡市柿岡3236-6
Instagram:https://www.instagram.com/jayasatoyuki/
主な栽培品目:小松菜、ほうれん草、長ネギ、キャベツ、じゃがいも、ピーマン、里芋、大根など