店頭用POP配布
店舗様向けに、本ページで紹介している農家の店頭用POPを配布しています。
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茨城県水戸市にある日本農業実践学園の有機栽培部門の先生であり、先生になる前は12年間、隣県の栃木県芳賀郡茂木町で有機農業に取り組んでいた松井 眞一(まつい しんいち)先生。
就農する前は農林水産省の林業部門に在籍し、全国の現場を転々とする生活を送っていました。キャリアも長くなり、デスクワークが増えてきたころ「林業だけでなく食べ物のことも知りたい」と思い、検索して見つけた日本農業実践学園の週末農業体験講座に通い始めたことがきっかけで、有機栽培に出会いました。
週末講座を体験するうちに有機農業を仕事にしたいと思うようになり、退職を決意。奥さんと一緒に移住先を探していた時に出会った茂木町の農家住宅を気に入り、即決で購入。移住とともに就農しました。移住したばかりの頃は近所の方から「30年ぶりに新しい人が越してきたよ!」と驚かれたこともあったそうです。
就農した場所は日本農業実践学園から車で30分ほどのところで、自身の農場でも有機農業講座を開いていたこともあり、講師になる前から学園との交流は続いていました。前任者だった方が新たに自分で農業を始めるために退職するというタイミングで、教務部長・有機農業担当として就任。今年で就任7年が経とうとしています。
学園としては、2001年から有機栽培に取り組みはじめ、2003年に有機JAS認証を取得。当初は60aだった有機栽培の畑は、今では175aまでに広がっています。
学園の有機栽培の畑では、野菜を40品目程度、季節に合わせて栽培しています。畑のほかに、9aの水田も管理。こちらも有機栽培、手刈り・天日干しで育てています。さらに鶏も130羽育てており、鶏糞や藁、米ぬかなど、有機栽培に必要な資材の一部も自分たちの手で育て、循環できる仕組みになっています。
学園で学んだことを活かして有機農家として独立することを目的にしているので、授業は実践が中心。1日の授業では早朝、午前中、夕方と3回の作業時間があり、月曜日から金曜日まで全日、土曜は午前中までの授業があるというかなりのハードスケジュールです。
一番ハードなのは夏場の作業ですが、松井先生は「自分たちで育てたすいかを割って休憩時間に食べると、身体の疲れが一気にとれるんですよ!」と笑顔で話してくださいました。学園での授業のコースは1年間の社会人コースと2年間の高卒生対象のコースがあり、生徒さんの年齢層も10代から60代までと幅広いのが特徴。30代の生徒が中心となっています。基本的に寮生活なので、出荷規格外の野菜を使ったおかずが並ぶことも。
「きちんと土づくりをすると、野菜の味も変わるんですよ」と松井先生。学園の畑では土づくりに力を入れており、特に松井先生が農家時代から使っていた「ヘアリーベッチ」というマメ科の緑肥を使った土づくりを実践しています。有機農業では土の良い状態を保つために、緑肥で覆うことが有効とされていて、特にヘアリーベッチは他のマメ科の緑肥よりも根に窒素を溜め込む能力に優れていて、堆肥の量も少なくできるのでとても重宝しているそうです。
良質な土で育てた野菜は、地元のスーパーや八百屋に出荷されていて「味が濃い」と人気です。特に子どもが味の違いがわかるようで、生徒さんが小学生の孫にお土産にブロッコリーを持っていったら、お孫さんから「これいつもと違うね」と言われて驚いたそう。金時にんじんも「今まで食べたにんじんと違う」という感想をよくいただくそうです。
「農業は地道な作業の連続で、特に有機農業は自分の頭で考え、トライアンドエラーを繰り返して取り組んでいくものです。ずっと答えのない取り組みをしつづけることこそ農業の本質なので、まずは触れることからはじめて欲しいですね」と松井先生。
「現状の日本では、農業の担い手が非常に少ない状態で、平均年齢も60代後半となっていてこのままでは成り立たない状況です。卒業生のみなさんが、農業という仕事を選択することの大切さを実感しながら、ここで学んだことを活かし、農家として頑張る姿を見られたら嬉しいです」とおっしゃいます。
優しく生徒を見守る松井先生のもとには、近くで就農した卒業生の方が顔を見せに来てくれたり、学園の敷地内でぶどう農家として就農した卒業生と話すこともしばしばあるそうです。
有機農家を経て、これからの有機農業を担う人たちを導く立場になった松井先生。これからもたくさんの卒業生が就農してくれることを、願ってやみません。
学園長 兼 農場長 籾山 旭太
住所: 茨城県水戸市内原町1496
HP:https://nnjg.ac.jp/
主な栽培品目:かぶ、とうもろこし、なす、ピーマン、スイカ、きゅうり、かぼちゃ、金時にんじん、ブロッコリー、米など