店頭用POP配布
店舗様向けに、本ページで紹介している農家の店頭用POPを配布しています。
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茨城県筑西市に拠点を置き、有機農業で活躍する農業生産法人「株式会社レインボーフューチャー」。代表取締役の大和田 忠(おおわだただし)さんは今でこそ農業歴20年以上のベテランですが、その前はなんと経理としても20年以上活躍されてきた方だったのです。本人もびっくりだった当時の仰天の就農転機からお伺いしました。
大和田さんが農業を始めたきっかけは、意外にも前職の電気通信会社での経理時代に遡ります。当時の上司から「野菜作りをやってみてほしい」と突然辞令が下ったことがすべての始まりでした。農業経験ゼロの状態で、未知の領域に飛び込むことになったのです。
「その会社の親会社がアメリカ企業との取引をしていたため、外部要因で業績が左右されることもあったんです。そこで経営の安定を目指し、安定供給可能な農業を始めることになりました」と説明します。しかし、農業はまったく未知の分野であり、大和田さんも手探りの状態で業務に取り組むことになったのです。
「最初に取り組んだのはモロヘイヤでした。エジプトのクレオパトラが愛したと言われている野菜として注目されていたので、これを育てようと。ですが、最初の年は全滅でした。苗に過剰な肥料を与えたり、ハウスを閉めたまま外出したりと、やってはいけないことを知らなかったんですよ」と、大和田さんは当時を振り返ります。
試行錯誤を繰り返す中で、スタートから2年目でうまく育つようになったそうです。栽培するだけでなく販売ルートを作るのも大和田さんでした。野菜づくりへの情熱だけを持ってプレゼンし、徐々に地元のスーパーや高級レストランとの取引を通じて信頼を築いていったのです。
前の会社で農業を始めて6年目の時、「自分で畑を持ちたい」と思うようになった大和田さんは、会社を卒業して独立するために1年の準備期間を設けました。ここまでですでに、栽培・営業・経理の経験はあったので、畑を探すだけだったと言います。「実は卸先も、知り合いの社長さんが紹介してくださった有名なファミリーレストランがあったんです」とのこと。
そんな大和田さんが現在取り入れている農法である循環型農業に取り組むきっかけとなったのは、会社設立から5年目に山形県長井市での講演会に参加したことでした。そこでは生ゴミを堆肥化し、それを農家に提供して作物を育て、さらにその作物を地元の学校給食やスーパーで活用するという循環型のシステムが確立されていました。
「長井市の取り組みを知ったとき、これだ!と思いました。廃棄物を資源に変え、地域全体で循環させる発想は、全然考えてなかったものです。私は単身で長井市を訪れ、現地の施設を見学し、システムの詳細を教えてもらいました」と、大和田さんは振り返ります。
この経験が大きな転機となり、大和田さんは地元茨城でも同じような仕組みを作れないかと模索を始めました。結果として、下妻市近郊にある施設と提携し、地元だけでなく東京や関東一円の学校給食やスーパーから出る「残さ」を堆肥化して活用する現在のシステムを確立しました。
「堆肥を使うことで土壌が豊かになり、えぐみの少ない美味しい野菜ができるようになりました。このシステムは、持続可能な農業の基盤です」と語る大和田さん。こうした取り組みは、地域経済の活性化にもつながっています。
大和田さんが実践する農業の根幹には、肥料に頼らず微生物の力を最大限に引き出す「土づくり」への徹底したこだわりがあります。「私たちが目指しているのは、自然と調和した農業です。微生物が豊富に存在する健康な土壌があれば、野菜は驚くほど美味しく育ちます。トウモロコシの糖度が21度を超えたのも、その成果の一つです」と語る大和田さんの表情には、自信と誇りが滲んでいました。
また、山形県長井市から影響を受けた地域内外の循環型農業を推進する取り組みも見逃せません。「残さを資源として捉え、それを活用することで、地域全体の農業が持続可能になります。このシステムをもっと広めていきたいですね」と力を込めます。
順調だった大和田さんの農業は2011年に起きた東日本大震災という試練と向き合うことになります。原発事故による風評被害で、3カ月間も出荷ゼロが続いたのです。しかし、大和田さんは諦めませんでした。
「展示会に出向いて、直接お客様に試食してもらいながら、安全性を訴えました。その結果、少しずつ理解が広がり、再び販売が回復しました」と当時の苦境を語ります。
さらに、JGAP(農業生産工程管理)認証の取得にも迅速に対応しました。膨大な書類作成にもめげず1カ月で認証を取得し、JGAPに対応するスーパーマーケットにも販路を拡大したのです。
大和田さんの数ある強みの一つは豊富な人脈とネットワークでしょう。レインボーフーチャーの野菜は東京の高級レストランや有名スーパーで扱われ、多くのシェフと密接な関係を築いています。シェフたちは畑を訪れ、大和田さんと直接意見交換を行うことで、より良いメニュー作りに活かしているのです。
「シェフたちが畑を訪れ、私たちの野菜で料理を作る。その場で一緒に味わうことができるのも、農業者として最高の喜びです」と目を輝かせます。
大和田さんのビジョンは広がり続けています。来年からは、関東圏の高級スーパー向けに有機カット野菜の提供を始める計画です。また、台湾やシンガポールなど海外市場への輸出も視野に入れています。
「カット野菜は忙しい現代人のニーズに応える一方で、有機野菜の新しい可能性を広げるものです。さらに海外でも、日本の有機野菜の美味しさと安全性を伝えていきたいと思っています」と大和田さん。挑戦したいことは、まだまだ山ほどあるようです。
住所:〒308-0111 茨城県筑西市舟生185-1
代表取締役:大和田 忠
URL:https://www.rainbow-future.com/
主な栽培品目:ベビーリーフ、とうもろこし、スティックセニョール など